『何かが道をやってくる』
7月の28日に手元に入りまして、つい先日、読了しました。
46年も前の作品だという事に驚き。
まず、文章が美しい。小説には、シンプルな文体の美しさと、
流麗で装飾的な…例えば、ヴァージニア・ウルフの書く小説の様な…美しさが
あると思うんだけど、この小説は、後者かな。かといって、ウルフほど難解ではない。
その文体で語られる、サーカス団(作中ではカーニバル団だけど、あえてこう呼ぶ)との
ホラーにも似た、ダークな描写、駆け引き、やりとり。不気味不気味不気味…。
真夜中の汽車や魔女、シャム双生児、奇形人など、様々なモチーフを持ち出し、
サーカスの暗黒面を剥き出しにしている。鏡の迷路や電気椅子、そして回転木馬。
ファンタジックでありながら、かなりダーク。まさに『ダーク・ファンタジー』と呼ぶに
相応しい小説。序盤は、まだ読み始めで新鮮に読め、その世界観に魅力を感じ始め、
中盤でダレ始めたけど、後半は怒涛の展開で、一気に読み終えてしまった。
サーカスの明るい面と暗黒面、日常を侵食する非日常。
まさに、今の自分が創造したいテーマが盛りだくさんの小説でした。面白かった!
小説で、こんなに夢中になったの、久しぶりかもなあ。
もしかしたら、本郷みつる監督も、この小説に影響を受けてるかも?
何か、本郷監督の作品のモチーフを想起させるんですよね。元々、この小説の作者、
レイ・ブラッドベリはSF作家なので、児童文学とSFを愛好する本郷監督が
この小説を読んでいる可能性は多いにありうる。児童文学とSFの雰囲気を、
いいとこ取りした様な感じも受ける小説だしね。
色々とイマジネーションを喚起されました。色々と新しいアイデアが浮かびつつあります。
作品構造のテーマ性、新しいシーンなど…。
最後に、話は変わりますが、クレしん映画の設定デザインなどでお馴染みの
湯浅政明監督の『カイバ』のDVD一巻を観ました。かなり独創的で良い感じ。
続き物なので、感想は、全話観てからかな。
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